歯科治療といえば、虫歯や歯周病の予防や治療が一般的に知られているところですが、最近の技術の進歩は目覚ましく、口元を美しく見せる審美・美容歯科やインプラントの分野における利用者が急増しています。また、これまでは完治することができなかった状態の虫歯や欠損、歯周病が完治できる場合もありますし、その予防にかかる技術も年々進化を遂げています。一方では歯科医が飽和状態であり、新たな分野を切り開いていかないと、クリニックの存続が難しく生き残っていけないという事情もあります。現在、国家資格に合格する受験生は、年間、2、300人にも上ると言われています。

しかしながら、開業医に定年はありませんから、歯科医を廃業する人は2、300人には充たない状況が続いているため、飽和状態となっているのです。こういった状況において、利用者は歯科医選びが大切になってきます。スキルの高さは当然として、どういった分野に精通しているのかを見極めることが重要です。また、今まで諦めていた虫歯や欠損、歯周病といった症状も完治する可能性もありますから、まずは、歯科治療の現状について情報収集するとに、行きつけのクリニックを守ることが大切になってきます。

永久歯に生え変わった歯は、一生付き合っていくものですから、乳幼児から幼児期、児童に至るまでの間の口内ケアや治療、歯磨き習慣の定着はとても重要です。その一方で、この時期の子供たちにとって、歯科クリニックは「行きたくない場所」であることは間違いありませんから、一般のクリニックとは別に小児歯科の分野が確立されています。ここでは、虫歯治療の他に矯正治療が大きな柱となっています。最近の子供たちは以前と比較して噛む回数が圧倒的に少ないこと、糖分を多く含んだ食物を好む傾向が強いことから、顎の骨の発達が不十分であるため、噛み合わせに不具合が生じているケースが非常に多くなっています。

そこで、顎の骨が形成される前に正常な噛み合わせとなるよう矯正しようというものです。小児歯科では、クリニック内の設備を子供向けにソフトなイメージに統一したり、装飾に工夫するなど、子供たちが親しみやすい環境作りに取り組んでいますから「怖くない場所」であることを教え、例え、虫歯がなくとも定期的にクリニックを訪れることが大切です。そこで、フッ素塗布による予防治療、噛み合わせが適切であるかの検診、正しい歯磨きの方法を学ぶことによって、歯を大切にするようになりますし、歯科クリニックに通うことが大人になっても習慣化されてくるのです。ここ数年で技術も進化はもちろん、利用者が急増したのが審美・美容歯科の分野です。

ここではホワイトニングをはじめ、歯を治療した際の銀歯や詰め物の変更、セラミックなどを利用した差し歯の装着など、口元の美しさを追求する歯科になります。これらの治療は、医療行為とは異なりますから、保険の適用外となります。また、治療費については、歯科クリニックが設定できますから、非常に高額になりますが、特に女性については顔の印象が大きく変わることから、治療を受ける人が増加しています。審美・美容歯科の分野で最も多い治療がホワイトニングです。

これは、自身の歯を漂白して白く見せるものですが限界があります。そこで最近、注目されているのがラミネートベニアという治療方法です。これは、歯の表面を削って薄いシェルを貼り付けることで、自身の持っている歯の色よりも白く仕上げることができます。また、義歯や銀歯などは、セラミックなどの材質を用いることで、治療痕が目立たなくすることができます。

審美・美容歯科の分野は口元の美しさを追求するものではありますが、その前提として口内環境が正常であることが必須です。したがって、審美・美容治療を受ける際には、虫歯や歯周病、噛み合わせなどを完治させてから臨むことが大切であることは言うまでもありません。歯の役割は、食物を噛み砕き体内への消化・吸収を補うことですが、噛み合わせが悪いと正常に体内に摂り入れることができないことから、重症の場合、内臓疾患を引き起こすことさえあります。また、噛み合わせが悪い人は、往々にして歯並びも悪く複雑になっていることも少なくありませんから、しっかりと歯磨きをしているつもりでも磨き残しが多く、虫歯や歯周病になりやすいというデメリットを抱えています。

しかしながら、矯正治療は若くなければできないと思っている人が多く、治療そのものを諦めている人も少なくありません。最近では、矯正器具の発達によりマウスピースやプラケットといった器具で、比較的簡単に成人であっても治療することが可能となりました。また、重度の場合であってもインプラントを利用した治療も可能になっています。噛み合わせや歯並びについては、虫歯や歯周病、内臓疾患の危険性だけでなく、発生や外観にも影響することから、コンプレックスを感じて、メンタル疾患を引き起こしているケースもあることから深刻な課題として、近年、非常に研究が進んでいます。

治療を諦めて思い悩む前に、まずは矯正歯科に精通したクリニックに相談することが大切です。インプラントは欠損した部分にセラミックなどを材質とする義歯をはめ込むものです。顎の骨にネジを取り付ける手術が必要であることから、医師の技術はもちろん、精密な機器類の配備が必要となります。また、保険の適用外となることから、治療費は歯科クリニックが定めることになりますから、非常に高額になってしまいます。

しかしながら、インプラントはブリッジや従来の差し歯とは異なり、義歯を骨に固定することから、他の健康な歯にダメージを与えないこと、噛み合わせが抜群に良くなること、セラミックなどを義歯に使用することで仕上がりが美しいなど、非常に有効な治療方法であることは間違いありません。それだけに、歯科医には高い技術が求められますが、その普及を促すために、日本口腔インプラント学会が発足されています。学会では広い学識と高度な専門的技能を有する歯科医師の養成を図るため、各種の研修を積極的に開催したり、専門医、専修医、インプラント専門衛生士、インプラント専門歯科技工士の資格制度を実施しています。したがって、インプラント治療を受ける際には、こうした資格を取得している歯科医が数多く在籍する専門クリニックを選ぶことが重要です。

予防歯科という分野は、単体でクリニックが開業されているわけではありませんから、一見、地味な印象を持たれがちですが、将来にわたって自分の歯を健康に保つためには、とても大切な分野です。予防歯科には自身が日々の生活の中で実践するセルフケアと定期的に歯科医で受けるプロフェッショナルケアの2種類があり、その両方を実践することで効果があるものです。定期的に歯科クリニックで受けるプロフェッショナルケアの主な内容は、口腔内検査、プラーク除去、スケーティング、フッ素塗布となります。虫歯や歯周病の状況を確認し、専用の機器類でプラークや歯石を除去し、フッ素で虫歯になりにくい環境を作り上げていきます。

この時、ブラッシング指導も併せて行われます。自分では磨けていると思っても磨き残しがあったり、無理なブラッシングで歯茎を痛めてしまう場合もありますから、定期的なチェックはとても大切なことです。このように、予防歯科の治療によって、健康な口内環境を作り上げ維持することは、将来の自身の生活においても大きな影響を及ぼすことです。したがって、日々の生活の中で気軽に通院できる地域に行きつけの歯科クリニックを見つけておくことがとても大切になるのです。